大鰐温泉 ヤマニ仙遊館

おおわにおんせん やまにせんゆかん

玄関に足を踏み入れた瞬間、ほの暗い灯りに浮かび上がる宮殿階段──磨き抜かれた木肌の艶、手摺りに残る時代の手触りが胸の奥をほどいていきます。

青森・大鰐温泉「ヤマニ仙遊館」は、喧噪からそっと離れ、旅人を“大正浪漫”の狭間へ誘う静かな宿。

雪深い冬もしだれ桜揺れる春も、ここだけは時がゆるやかに澱み、心を静かに包み込みます。

[  住所  ]
〒038-0212 南津軽郡大鰐町蔵館村岡47-1
[  アクセス  ]
JR新青森駅より車で60分/大鰐弘前インターより車で10分
[  駐車場  ]
12台無料 *バス専用スペースなし
[  チェックインアウト  ]
チェックイン 15:00 / チェックアウト 09:30
[  現在地からの経路  ]
https://goo.gl/maps/
  • コンセプト

    大正浪漫の面影をそのままに、時の流れをひと呼吸だけ緩める場所へ

    静かな山あいにひっそりと佇む大鰐温泉「ヤマニ仙遊館」。

    玄関をくぐれば、磨き込まれた調度に柔らかな灯りの陰影が落ち、大正浪漫の空気が凛と息づきます。

    手仕事の温もりと山里の澄んだ空気に抱かれるこの空間で、都会に折り重ねた雑念はそっとほどけ、時の流れさえゆるやかに緩む――当主が願うのは、そんな“時の狭間”で心身を静かに解き放つひとときを届けることです。

    客室

    客室にはミネラルウォーターと淹れたての煎茶、そして湯気の香りまで澄みわたるコーヒーを。

    夜更け、障子越しに川のせせらぎを聴きながら湯呑みに口をつけると、遠い昔に置き忘れた静けさが、また一つ胸の底に降り積もります。

    館の奥には、文豪・太宰治や後藤新平が逗留した文化財棟があります。

    水回りのない昔ながらの間取りは不便さよりも、むしろ「その時代に身を置く歓び」を穏やかに呼び覚ましてくれる佇まい。

    廊下に流れる静寂のリズムと、廃材同然だった津軽塗のテーブル、輪島塗の火鉢。

    先人が大切に使い継いだ道具たちは、無垢材の素朴な温かさと手仕事の息吹を宿し、語りかけるように再び命を帯びています。

    戦後間もなく建てられた昭和浪漫棟の客室も、しんとした空気の中に柔らかなノスタルジーを滲ませ、旅人を優しく包み込みます。

     

    館内での過ごし方

    湯殿へ向かえば、当主が古い絵葉書を頼りに描き直した「浪漫の泉」。

    マジョリカタイルが淡い光を返し、湯面にはランプの揺らめきがそっと映ります。

    冬至には柚子の香り、桜桃忌の六月十八日にはさくらんぼの瑞々しい甘さが湯気の奥からふわりと立ち上り、肌に、鼻腔に、季節の輪郭を描いてくれます。

     

    • 大正浪漫浴場「浪漫の泉」
      古い絵葉書をもとに当主がデザイン。マジョリカタイルが湯面に淡い光を返し、冬至の柚子湯、6月18日桜桃忌のさくらんぼ湯など季節の香りが湯気に溶け込みます。

    • ロビー&共有スペース
      宮殿風階段や古民具のインテリアを眺めながら、静かな物語を辿るひととき。喫煙室では遊女気分で一服を。

    • 蔵リノベーションのレストラン
      花街を思わせる雅やかな灯りの下で、地酒や旬の味わいを堪能。

    食事

    “地域の食と人情”に出合う夕べ

    いったん湯から上がれば、蔵を花街風に改装したレストランへ。

    艶やかな灯りの下、地元の旬を映した創作和食のコースをしっとりと味わうもよし。

    あるいは、焼肉を気ままに頬張る夜、網の向こうで弾ける脂の音に身を委ねるもよし。

    海の幸を粋に供する居酒屋で、盃を傾けながら土地の人情にふれるのも、この宿ならではの楽しみです。

     

    夕食は気分に合わせて三つの提携店から選択。

    1. 焼肉店(アラカルト)──地元産の肉を好きなだけ。

    2. 魚料理居酒屋(コース)──旬の海の幸を粋に味わう夜。

    3. 蔵のレストラン(創作和食コース)──花街風の艶やかな空間で、地元食材の滋味をしっとりと。

    朝食には青森らしい素朴な献立を用意し、旅の朝をやさしく整えます。

    お推しポイント

    1. マジョリカタイルの湯浴み体験
      ― 大正レトロ風呂「浪漫の泉」で、季節の香湯に包まれる贅沢。

    2. 文豪逗留の文化財棟
      ― 当時のままに時を留めた客室で、静かな時間旅行を。

    3. 蔵レストランの艶やかさ
      ― 花街風の美しい空間と創作和食が、旅の夜を華やかに彩ります。


    枝垂れ桜が風に揺れる春、つつじ色の丘がしっとりと染まる初夏、真白の雪がふわりと降り積もる冬。

    四季は揺らぎ、けれどこの宿の時間は揺るがず、静かに澱(よど)み、旅人を包み込みます。

    もし旅の目的が霞んだときは、ヤマニ仙遊館へ。

    流れを止めるのではなく、そっと緩めるように。

    温かな湯と手仕事の温もりが、忘れていた静けさを授けてくれるでしょう。